ボートシーバス用シャッド、岡さんからの新製品提案には正直“難しい”という言葉が頭をよぎった。
zipbaitsにはそもそも“ザブラシャッド 70SS”が存在する。
サイズは80mmということで違いはあるが、使い分けが難しい。
そんな風に最初の頃は思っていた。
ただその発想を聞いていくとその熱い思いと、毎日ガイドサービスを生業とする実績から
来る圧倒的な自信に心が動かされていったのである。
ガイドサービスとはお客さんに釣らせるのが商売。
その為妥協は許されなかった、岡さんのプライドである。

“ザブラシャッド 70SS”では東京湾のベイトサイズとしては少し小さい。
その理由でサイズは80mmを希望される、既にzipbaitsの他製品に搭載されている重心移動システム、
“マグドライブ”は風にも負けずキャスティングに有利な為、必ず採用希望との事。
後は止めた時にピタっと止まる事、つまり海水でのサスペンド。
そんな大まかな要望から始まった。
“ザブラシャッド 70SS”はバンバンとトゥイッチしリアクションで喰わす攻撃的なシャッド。
それに対しあくまでシーバスの食性に拘ったKAIRA。
サイズの違いだけでなく、そもそもの使用目的が違う。
その為アクションにも強い拘りが…。
圧倒的なタイトローリングアクション、これがシーバスに効く。今までガイドして来た結論がこれ!
出来ればバイブレーションのアクションが出来るシャッド!
岡さんの言っていることは分かるけど再現するには、かなりの時間を要した。
形状も体高があるものから始まり、アクションを出す為にどんどん変化していった。
テストの回を重ねる毎に、だんだん要望に近づいていったが、
後半は既にキャストしてからのリーリングでは違いが分からないレベルに。
その為、千葉まで通いボートで何本も竿を同時に出し眼前で違いを確認していった。
そこまですると違いがよく分かって来る。現場で微調整出来ない場合は持ち帰り後日テスト。
この繰り返しにより時間はかなり必要としたが岡さんの求める物が漸く完成したのである。

特筆すべきは今回のアイテム、その開発段階で思わぬ副産物が生まれた。
ストラクチャーを打っていくスタイルだと、どうしてもピッチング等のショートキャストの機会が増える。
マグドラブは機能すると風をものともせず飛んでいく。
ただショートキャストではキャストにテクニックが必要になる時がある。
慣れている我々は問題なく出来るけど、誰でももっと簡単に、ショートキャストでも機能させられる構造に出来ると完璧!
そんな発想から生まれた構造が“マグドライブアロー”である。
重心移動の円柱タングステンの比重を変化させ、マグネットの磁力にて固定する方法。
この構造により通常のマグドライブと比べ若干磁力が弱くなることにより、
ピッチングのようなショートキャストでもテイクバック時にウエイト移動しキャスト時には矢のように飛んでいく。
これがものの見事に簡単にキャスト出来るのである。
その結果ストラクチャーを打って行くのがビシビシ決まる。
キャストするだけでも面白い。そんな仕上がりになったのである。

またタイトローリングアクションを出すのに重心移動と別にもう一役買ったのが腹部の成形タングステンウエイトである。
こちらも重心移動の円柱タングステンと同比重にした。
クロストリガー同様、他の比重ではアクションが出なかったのである。
他素材にしたく色々な素材のウエイトを試したのだがテスター岡さんには通じなかった。
それ程今回のアクションにこのウエイトは重要であった、0.1gの違いでアクションが変わる。
何とも開発泣かせのアイテムとなった。

ただその苦労も、出来上がったサンプルをフル稼働中の岡さんからの釣果実績や手応えを聞くと報われる。
低温になりシーバスが沈む状況でも、ものともせず魚を引っ張れる力、何より投げていて楽しい!
興奮して岡さんから連絡が来る度に、妥協せず長期に渡った開発も意味があったと感じるのである。
ジップベイツ 開発スタッフ

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